2025/10/15
コラム欄
世界の再生医療市場を席巻へ──台湾エクソソーム企業、日本のトヨタホールディングスと連携し、産業高度化を推進

CNEWS匯流新聞網記者胡照鑫/台北報導
がん治療、再生医療、美容・スキンケアなど多分野で幅広く応用されているエクソソームは、世界のバイオテクノロジー産業の焦点となっている。昨年の世界市場規模は45.8億米ドルに達し、年平均成長率18.3%の勢いで急成長すると予測されている。台湾エクソソーム(Taiwan Exosome Company, TEC)は日本のトヨタホールディングス株式会社(トヨタ控股)と7月に共同で「日本エクソソーム株式会社」(日本エクソソーム株式会社)を設立し、エクソソームとNK細胞治療を二大エンジンとして、新世代アジアバイオテクノロジーアライアンスを構築し、日台の研究開発および製造の強みを結集して、世界のヘルスケア市場の発展を推進する。
台湾エクソソーム董事長 洪奇昌氏、日本トヨタホールディングス社長 豊田浩之氏は本日(15日)、総統府を訪問し、総統府副秘書長 何志偉氏の接見を受けた後、台日関係協会 会長 蘇嘉全氏を表敬訪問した。洪氏は、「今回、革新を目指すトヨタホールディングスとバイオテクノロジーおよび細胞治療の研究開発で協力し、強力な連携体制を築くことになった。特にTECは創業者 陳振興氏の長年の努力により強固な基盤を築いており、この台日連携を通じて、基礎細胞生物学から細胞治療の応用まで、さまざまな成果を開拓することを期待している」と語った。

豊田浩之氏は、「医療には革新と革命が必要だ。エクソソームの世界市場の将来性に大きな期待を寄せている。台湾は最先端の技術を持ち、日本は最高の品質を持っている。両国が連携することで、アジアを起点に世界へと歩み出し、この協力を通じてさらなるブレークスルーを実現できることを期待している」と述べた。
日本エクソソーム株式会社では、陳振興氏が董事長に就任し、さらなるパートナーの参入を図るとともに、日本国内の関連ラボおよび細胞製剤工場と連携し、医療機関に臨床グレードの細胞製品およびヘルスケア応用を提供する。今後、欧米および東南アジア市場への展開も進める予定である。
TECは、臨床グレードで非遺伝子編集型の汎用NK細胞製造プラットフォームを有している。世界では現在、この能力を有する企業・機関は6社のみであり、TECは最新の認証を取得した企業であると同時に、台湾で初めて衛生福利部の認証を取得したNK細胞製造施設でもある。「免疫細胞製剤」「エクソソーム研究開発」「産学医臨床検証」という三大プロセス開発の優位性を有し、がん、自己免疫、神経変性、アンチエイジングなど臨床分野の研究をカバーしている。革新的なバイオテクノロジー研究開発能力を備えている。
洪氏は、「2025年は世界のバイオテクノロジー産業構造の転換点となる重要な年になる。エクソソーム、免疫細胞、再生医療技術は臨床応用の新たな戦場であり、資本市場におけるホットスポットでもある。さらに台湾の『再生医療ダブル法』と『健康台湾』政策の推進により、TECの研究開発チームは10年以上の細胞製造プロセスの経験を活かし、法的基盤のもとで積極的にイノベーションを進め、世界のエクソソームおよび再生医療分野で競争力を発揮し、より多くの患者に恩恵をもたらす」と述べた。

TEC営運長兼技術長 林杰良氏は、「エクソソームは『細胞間の宅配便』のようなもので、生理的な情報を伝達し、免疫調節や神経関連研究において潜在的な応用価値を持っている」と述べた。TECは現在、臨床試験レベルのナチュラルキラー(NK)細胞を研究目的で提供しており、林口長庚記念病院では自家NK細胞による大腸がんの臨床第I相治療研究が進行中であり、台南成大病院では他家NK細胞による膵臓がん・胆管がんの臨床第I/II相研究を行っている。
TECは、経験の蓄積とさらなる研究開発の強化、および国内外の戦略的協力関係の展開を通じて、エクソソーム応用研究を推進し続け、将来的には臨床ケアモデルの革新と向上を目指している。同時に、製品と技術の安全性・品質の向上、臨床標準化、人材育成、国際協力を推進し、アジアと欧米市場をつなぐ再生医療の「国際的な駆動コア」をビジョンに掲げ、台湾のエクソソームバイオテクノロジー産業の発展をリードしていく。
写真提供:CNEWS匯流新聞網資料写真