2025/12/24
コラム欄
台湾外泌体会社、陽明交通大学と連携!泌尿器系疾患に注目

▲台湾外泌体(Taiwan Exosome)と国立陽明交通大学生命科学系・ゲノム科学研究所は、産学連携協力協定を正式に締結した。右から4人目は国立陽明交通大学の楊慕華副学長、連正章生命科学学院長(右3)、李美璇副研究開発長(右2)、プロジェクト責任者の李曉暉副教授(右1)。左から4人目は台湾外泌体股份有限公司の洪奇昌董事長、林杰良營運長兼技術長(左3)、楊茗毅法務長兼行政長(左2)、呉佩融副研究員(左1)。(写真/台湾外泌体社提供)
【NOWnews今日新聞】台湾外泌体股份有限公司(Taiwan Exosome Co., Ltd.)は本日(19日)、国立陽明交通大学生命科学系およびゲノム科学研究所と、泌尿器系疾患の新薬開発を目的とした産学連携協力協定を締結した。同社の技術長である林杰良氏は、創薬開発へ進むことで市場との差別化を図りたいと述べた。
台湾外泌体社の洪奇昌董事長は、エクソソーム(exosomes)について、細胞から細胞外へ放出される直径約30〜150ナノメートルの細胞外小胞であり、タンパク質、脂質、核酸など多様な生物分子を含んでいると説明。これらは細胞間の情報伝達において重要な役割を担っている。
洪氏はまた、近年の研究によりエクソソームが組織修復、炎症調節、細胞微小環境の再構築において重要な役割を果たすことが示されており、再生医療や精密医療の分野で大きな注目を集めていると指摘した。泌尿器分野においては、急性腎障害、尿路粘膜損傷、膀胱機能障害などの疾患モデルを用いた動物実験で、エクソソームが炎症反応を抑制し、微小血管と組織の修復をサポートする可能性が示されている。ただし、具体的なメカニズムについては今後、科学的および臨床的研究による検証が必要であるとした。

林杰良氏は、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)自体は癌との関連性が高く、NK細胞を主軸とした細胞治療は比較的高価になる傾向があるが、同社としては慢性疾患や組織修復が必要な疾患への応用を主眼に置いていると言及した。
また、林氏は、医薬品開発の各段階において栄養補助食品などへの展開の可能性もあるが、あくまで市場との差別化を優先し、国際的な医薬品規格への適合を目指すと述べた。
さらに林氏は、現在アメリカではすでに2つの臨床試験がフェーズ3に到達しており、創薬の難易度は高いものの、市場の「ブルーオーシャン」を切り拓きたいと語った。新薬開発については2〜3年以内の臨床試験開始を目指しており、主に自己免疫関連疾患を対象とするほか、将来的には膀胱の修復、腎臓の再生、前立腺の改善などの用途へ拡大していく予定だ。
世界の疾病負荷(GBD)から見ると、泌尿器系疾患は重大な公衆衛生問題となっている。統計によると、世界の慢性腎臓病(CKD)患者は約7億〜10億人に上り、CKDは世界の死因第9位に浮上し、年間約150万人の死者を招いている。尿路結石の有病率は世界の成人人口の約5〜10%に達しており、泌尿器系疾患が医療体制や社会コストに与える影響は長期かつ深刻である。台湾においても、泌尿器系疾患による負担は同様に重いものとなっている。

▲台湾外泌体社は、エクソソームが組織修復、炎症調節、微小環境の再構築において重要な役割を果たすと指摘している。(写真/台湾外泌体社提供)